学類生

高村泰時さん

今の学類、プログラムに進学した理由は?

小さい頃から数学と理科の勉強や考えることが好きでした。元々総合教育部に所属していましたが、1年次の大学で学ぶ物理や化学はいくら勉強しても奥深く、「もっと知りたい」と思い、自然科学の中で最も基礎的なことを学べると思った数物科学類を選びました。

入学して感じたことは?

大学の先生との距離が近く、学類生にも熱心に向き合ってくれる人が多いことが印象です。また数物科学類では専攻したプログラムではない分野を垣根を超えて学ぶことが出来るので好きなことを勉強しやすいです。

現在、学んでいることは?

大学の講義では量子力学や相対論、非平衡系物理学を学んでいます。2年までに学んだ内容が少しずつ関係性を帯びてきて楽しいです。また計算物理学の内容も少しだけ学んでいます。

将来の進路は?

漠然としていますが大学院に進学して研究をしてみたいと考えています。高校生の頃に物理の教科書で出会った反物質というキーワードに興味があるので、CP対称性の破れに関係する内容で研究をしてみたいです。


宇都宮信彦さん

今の学類、プログラムに進学した理由は?

私は一年生のころは数物科学類ではなく、総合教育部理系(二年生から各学類に移行する学類)という学部に所属していました。そのときに、さまざまな学類の研究室を見学したり、先生・先輩方のお話を伺った結果、数物科学類物理コースしかないと思い、進学しました。私が物理コースに進学した理由は、2つあります。 まず、1つ目は物理の基礎性です。半導体や通信技術などのありとあらゆる現在の科学技術は、物理によって成り立っています。半導体を理解するには物性物理学が、通信技術を理解するには電磁気学というように、深く技術を理解したり、新しいものを作る際には、物理学の知識が欠かせません。工学系の研究室を見学した際にも、先生は物理を理解した人材の重要性について強く仰っていました。このように、なにか新しいものを生み出すためには物理が欠かせないと考え、物理コースで物理を勉強しようと考えました。 つぎに、2つ目が物理を学ぶことで得られる知識の広さです。物理学を学ぶことで、もちろん力学や熱力学・量子力学といった知識は学べますが、それだけではありません。物理現象をシュミレーションする際に必要なLinuxやPython・Cなどのプログラミング技術や、実験で得られたデータを扱うための統計学、実験装置を作成する際に欠かせない電気回路やCAD技術なども学べます。さらに、そういった技術だけでなく、 理論や得られたデータを解析する際に必要な論理的思考能力などのものの考え方も身につきます。このように、さまざまな知識を得られるのは物理コースしかないと思い、物理コースを選択しました。 以上、2つの理由から私は各理系学類の中から数物科学類物理コースを選び、進学しました。

入学して感じたことは?

私が数物科学類物理コースに進学して感じたことは、2つあります。 まず、1つ目は、物理コースは学業へ取り組みやすい環境であることです。物理コースには各学年専用のゼミ室やラウンジというものがあり、いつでも勉強や雑談できます。また物理コース所有の図書室もあり、勉強するには最適です。他学類の友達の話では、普段の勉強場所は図書館しかないそうです。このように、物理コースには非常に勉強しやすい環境が整っています。環境だけでなく、勉強熱心な友人も多く、深夜1時まで大学に残って勉強したのは良い思い出です。 つぎに、2つ目は研究に対して熱い想いをもつ先生や先輩方が多いことです。以前、物理コースの各研究室を見学し、その中で先生や先輩方のお話を伺う機会がありました。先生や先輩は非常に詳しく研究内容を説明してくださり、研究の面白さを強く感じました。また、4年生の頃に部屋1面の大きな装置を制作されたり、適切とされてきた実験方法を覆されたりした先輩方の活躍には非常に憧れました。 このように、数物科学類物理コースは学業・研究に非常に取り組みやすい環境だと思います。

現在、学んでいることは?

現在、私は学部三年生で、量子力学などの授業や問題演習・物理実験を中心に勉強しています。 授業では、教科書だけでは分からない、研究を通じて先生方が得た見方や解釈を知ることができ、非常にわかりやすいです。また演習では先生や友人たちと議論しながら問題を解き、授業の理解を深めることができます。これまで、想像もしなかったことが理解できた時の驚きと感動は何にもかえがたいです。運動方程式からエネルギー保存則が導かれた時のことは、今思い出しても感動します。 そして、物理実験です。物理実験は私の一番好きな科目です。物理実験では、X線や電気回路・超伝導・振動子・電気泳動といった現象を実際に確認し、授業で学んだ知識をもとにして考察します。その際には、プログラミングや電気回路・信号処理・統計の扱い方などさまざまな技術を学ぶことができ、非常にやりがいがあります。そして、何よりも理論と現象が実際に結び付くのを体験するのは非常に興味深く、物理の醍醐味だと思います。

将来の進路は?

来月から学部四年になり、研究室に所属しての研究が始まります。まだ具体的に何をするかは決まっていませんが、研究活動を通し、より専門的な知識や論理的思考力を身に着けたいです。研究活動で得られた論理的思考力や、物理や統計といった科学技術の基礎知識というのは将来にわたって生きる力となるはずです。なにか新しいことを学習する際にも役立つはずです。現在のように個人のスキルが重要視される社会では、長期的に見れば欠かせない能力だと思います。これからは、そのような経験を積めるように4年からの研究に全力を尽くしていきます。


大学院生

今の専攻、研究室を選んだ理由は?

学部生の時から超伝導に興味がありました。 研究室内のグループ配属は、コロナ自粛期間中にゼミに誘っていただいたことと研究テーマが単純に面白そうだと感じたことから決めました。

学部生の頃と比べて変わったと思う点は?

自分から動くようになった点です。グループ実験ではないため、先生と日々議論しながら研究を進めています。また、小さい測定試料への端子付など、細かい作業が得意になったような気がします。

研究は何が楽しいですか?

実験結果の考察です。特に、予想とは反した結果が得られた際に考察して、頭の中で次の実験の方針を立てているときが一番楽しいです。


今の専攻、研究室を選んだ理由は?

高校の頃、物質の最小単位である素粒子に興味を持ちました。それが研究できるのが物理学だと知り、素粒子の世界に挑戦したいという気持ちで物理学専攻を選びました。

学部生の頃と比べて、変わったと思う点は?

学部は今と違う大学にいたのですが、そこでは与えられたテーマの研究をしていました。一方、私が現在所属する研究室では、研究内容の大まかな方向性を自身で決めることができます。ですので色々な研究対象やトピックに興味を持つようになりました。 

研究は何が楽しいですか?

理論研究は自分の頭だけで物理と向き合います。一人で静かなところで好きなだけ考え続ける時間が好きです。


生物物理学研究室(渡辺グループ)

辰田貴哉さん 

今の専攻、研究室を選んだ理由は?

最先端の研究を通してスキルアップができそう、やりたい研究ができる環境が整っている、という理由で選びました。

学部生の頃と比べて、変わったと思う点は?

一番の違いは、学部生の頃は座学で話を聴くことがメインであったのに対し、研究では主体的に考えて行動する必要があるという点です。研究が好きなので、毎日好きなことを夢中でやっているような感じで、充実した研究生活を送っています。 

研究は何が楽しいですか?

自分の興味のあることを深く追求できることが楽しいです。機械学習を主に行なっているのですが、思い通りの結果が得られると嬉しいです。思い通りにいかなくても、それを解決できたときに大きな達成感が得られます。


宇宙物理学研究室

後藤初音さん 

今の専攻、研究室を選んだ理由は?

X線やガンマ線に興味があり、物理学を専攻しました。宇宙物理学研究室では、宇宙を探るためだけではなく医療用CTなどの地上で用いる技術も研究されていることから、自分の好きな研究がきっと見つかるだろうと思い、この研究室に入りました。

学部生の頃と比べて、変わったと思う点は?

研究を行う過程で、自分で課題を見つけて行動する点に自由度を感じます。与えられた課題をこなし続けていた学部生のころと比べ、悩むことが格段に増えましたが達成感も大きくなりました。 

研究は何が楽しいですか?

実験装置の設計から組み立てまでを行っていますが、設計したものが出来上がって形になる瞬間がとても楽しいです。また、自分の作った装置でこれから実際に実験が行われ、何年も利用されていくことを想像すると嬉しく思います。


ナノ物理学研究室

浜本和さん 

今の専攻、研究室を選んだ理由は?

理論だけではなく、実験で確かめたいと思って選びました。またナノ研は装置がたくさんあって、一人一台使うことが出来るので、個人単位で実験を進められるのも良いなと。

学部生の頃と比べて、変わったと思う点は?

学部の時は、装置の使い方や理論などを学ぶ側だったのが、院生になって教える側になったなというのは感じます。教える際に自分の理解が不足している部分などが分かったりするので自分のためになることも多いです。 

研究は何が楽しいですか?

まず個人単位で実験を進められるので、自分で試行錯誤が出来るところ。それと実験の結果が画像として出てくるので分かりやすいというのも、面白さに繋がっているのかなと思います。


卒業生

超低温物理学研究室 2019年度博士前期課程修了

渡辺祥太さん(現:通信キャリアでシステムエンジニア)

在学中はどのようなことを研究していましたか?

外部磁場の変化に応じて、磁性材料が発熱・吸熱を行う現象である「磁気熱量効果」を利用した磁気冷凍の研究を行っていました。 この技術を、クリーンなエネルギーとして注目を集めている「水素」の液化に利用するために、私は様々な磁性材料や冷凍機の研究を行いました。具体的には、水素液化温度である20K付近で大きな磁気熱量効果を発揮する磁性材料を探求したり、冷凍機の冷凍能力を向上させるために最適な磁性材料の組み合わせをシミュレーションしていました。

数物科学類・数物科学専攻に在籍していたことを今どのように感じていますか?

在籍できて素直に良かったなと思います。 数物科学類には様々な学生が集まるので、多様な考え方に触れることができました。テスト勉強を一緒にしながら互いにワイワイ議論したのが懐かしいです。 数物科学専攻では、国内、海外での学会発表をはじめ、ロシアのカザン大学への短期研究留学、国際論文の執筆、物質・材料研究機構との共同研究など、非常に多くの経験をする機会をいただき、忙しくも充実した日々を過ごせたと感じています。

卒業後の進路はどのように決めたかをお聞かせください。

漠然ではありますが、学部生の頃から修士課程修了後は社会人として働きたいと考えていました。 研究室に入り、研究効率を向上させるためにいくつかの便利なプログラムを作成していくなかで、自分が作成した成果物が他の人の約に立っていることに喜びを感じ、IT業界へ就職したいと思うようになりました。 業界を絞ったあとは、インターンシップで実際に就業体験をすることで、自分が将来やりたいことが出来そうかどうか、会社の雰囲気は自分と合っているかなどを知ろうと思いました。実際に数社のインターンシップに参加し、最も自分が行きたいと感じた現在の会社を最終的に選択しました。


素粒子・宇宙・理論物理研究室 2006年度博士後期課程修了

関戸暢さん(現:石川県教員総合研修センター・指導主事)

在学中はどのようなことを研究していましたか?

クォークの閉じ込め現象について、シミュレーションを用いた解析を行っていました。 理論物理の分野ではありますが、理論よりプログラミングを動かすことに時間を使っていたかもしれません。

数物科学類・数物科学専攻に在籍していたことを今どのように感じていますか?

海外の研究機関と共同研究するためロシアに1か月滞在したり、 毎年の国際学会に参加したり、研究を進めていく中で様々な経験をさせてもらいました。 そんな経験の中で、物理の面白さを感じるだけでなく、「コミュニケーション力」や「どんな環境でも生き抜く力」を磨けた思います。

卒業後の進路はどのように決めたかをお聞かせください。

多くの海外や日本国内の研究機関へアプローチしましたが研究職への道は厳しく、 1年間私立の高等学校で非常勤講師を務めました。そこで、自分で物理を研究するのも楽しいけど、物理の楽しさを伝えるのも面白いなと気づき、教員採用試験を受けました。何事もやってみないと分からないものです。